遠隔気功のお手伝いをしていると、ご家族からこのようなご相談をいただくことがあります。
「病気の家族がなかなか食べてくれません」
ご家族としては、とても心配になると思います。
「食べないと体力がなくなってしまうのではないか」
「食べないと元気になれないのではないか」
そう思って、何とか食べてもらおうとするのも、大切な家族を思ってのことでしょう。
しかし私は、病気のときに食欲がなくなることにも、身体なりの理由があるのではないかと考えています。
身体が「今は食べたくない」と伝えていることも
私たちは普段、
「しっかり食べて体力をつけなければ」
と考えます。
もちろん、食事から栄養をとることは、生きていくうえでとても大切です。
一方で、体調を崩したときに食欲が落ちた経験がある方も多いのではないでしょうか。
身体が弱っているときには、
「今は食べたくない」
「食事よりも休みたい」
と感じることがあります。
私は長年、さまざまな方を見てきて、身体には身体自身の状態を感じ取り、それに合わせようとする働きがあると考えるようになりました。
そのため、食欲がない人に対して、ただ「食べなければいけない」と無理をさせるのではなく、まずはその人の身体の状態に目を向けることも大切ではないでしょうか。
野生動物から考える「身体の本能」
野生の動物は、体調を崩したり怪我をしたりすると、活動量を減らし、静かな場所で身体を休ませることがあります。
そして、食べる量が減ったり、何も食べずにじっと身体を休めたりすることもあります。
誰かに「こうしなさい」と教えられたわけではありません。
自分の身体の状態に合わせて、本能的に休もうとしているのでしょう。
私は、ここにとても大切なことがあると思っています。
人間も体調が悪いとき、
「何も食べたくない」
「とにかく眠りたい」
「静かにしていたい」
と感じることがあります。
それは単に「食欲がなくなってしまった」と考えるだけではなく、身体が今の自分に必要なことを伝えている場合もあるのではないでしょうか。
食べ物を消化し、吸収することにも身体はエネルギーを使います。
だからこそ体調が悪いときには、いつもと同じように食べられないことがあっても不思議ではありません。
私は、人間にも野生動物と同じように、自分の身体を守ろうとする本能が備わっていると考えています。
身体が「今は食べたくない」「今は休みたい」と伝えているのであれば、その感覚にも耳を傾けてみることが大切ではないでしょうか。

「食べさせなければ」と焦りすぎないこと
大切な人が食べなくなると、ご家族が心配になるのは当然です。
しかし、
「もう少し食べて」
「これだけでも食べて」
と繰り返されることが、本人にとって負担になる場合もあります。
そんなときには、食べる量だけを見るのではなく、
「本人はいま何を欲しているのだろう」
と身体の声にも目を向けてみてほしいと思います。
それでも「何も食べないのは心配」という場合には、本人が食べたいと感じるもの、口にしやすいものを少しずつ試してみるのもよいでしょう。
例えば、果物や果物を使ったジュースなどは、体調がすぐれないときでも比較的口にしやすいと感じる方もいます。
果物には水分を多く含むものもあり、甘みもあるため、「これなら少し食べたい」と感じることもあるかもしれません。
大切なのは、「身体のために食べなければ」と無理に食べさせるのではなく、本人が何なら口にしたいのかを大切にすることだと思います。
そして、食欲がない状態が続いている、飲み物もとれない、急に食べられなくなったなど、身体の状態が心配な場合には、その原因を確認することも大切です。
身体が本来持っている力を大切に
私は気功に40年以上携わる中で、人間の身体には私たちが頭で考えている以上に、さまざまな働きが備わっていると感じてきました。
身体が休みたがっているときには休む。
食べたいと感じたときには食べる。
眠りたいときには眠る。
そうした身体からの声に耳を傾けることも、自分自身の身体を大切にすることの一つだと思います。
病気のご家族が食べられないと、どうしても不安になると思います。
だからこそ、「食べる量」だけに目を向けるのではなく、その方の身体全体の様子を見ながら、そっと寄り添ってあげてください。